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物理的には、現実は私はあの場所から帰って、またいつもの生活を送っているのだけれど、不思議とここにいる気がしない。
部屋からは、ここから旅立つ前と景色が続いているのに。
まだあの場所にいる、気持ちが。
まだ心に響いているのだろうなぁ。
あの時の空気、場所、ヒト、すべて。
私が行ったのは旅ではなかったのだと思う。
観光や見物の類ではない時間を過ごした。
もう少し時間が経ってから、それをゆっくり言葉にできるのだと思う。
きっと。
全部を言葉に変換することは無理だろうけれど、少しなら。
そんな気がしてならない。
あの空間にいたら、また始めたくなった。
とっても楽しそうなんだもの。
あの空気がたまらなく好きで。
昔書いていた落書きみたいな絵を、また書きたくなった。
ずっと前に、何の理由も無く止めた絵を。
小さな灯りを心に包んで。
もう何回も読んでいるのだけれど、とっても面白い。読んでいると、いろいろなことに気付かされる。
例えば、自分が苦しんだことの本当の理由だとか、毎日を楽しく過ごすこととか、当たり前だと思うことをおろそかにしないこととか。
だから、この約半年が少しずつだけれど、自分のいる白黒な世界が色付いてきた。
実は、今回の旅はこの本を貸していただいた方の所に会う旅なのだ。
あ、もうすぐ着く。
生まれ育った場所でも生活したこともない場所。
けれど、毎回お別れするのはつらい場所。
透明な赤紫色の甘酸っぱい気持ちでそれは胸をしめつける。
別れの時間はせまって、それに逆らうことはできない。
改札と通る前の最後会話で、一瞬顔が歪んでしまったが、前回歪んでしまった時に「笑顔でお別れだ」と言われたことが頭をよぎって、無理やりぎこちない笑顔を作った。
そして、できる限りの笑顔で手を振ってその場所を去った。
出発してしばらくたってから、やっぱりその気持ちは溢れた。
もう二度と会えないわけではないのは頭ではわかっているのだが、心の器じゃその気持ちは入りきらない。
甘酸っぱすぎる。
そう思ったとき、なぜかローズヒップティーの味を思い出した。
多分あの味はぴったりなんだろう。
感覚でそう思った。
いつも大切な人たちとの別れはこんな味。
また明日から、ここで私の生活が始まる。
始まるんだ。
だからこの気持ちとお別れしなきゃと思うけれど、まだできそうにない。