リード

　部屋をがさごそしていたら見つけたリード。
　
　ここ最近、煮え切らない私を見かねて、またひょっこり出てきてくれたのかなぁなんて。
　
　あの人は、今はもう星になってしまわれたけれど、あっちでもいろんな楽器を吹いてるのだろうなぁ。

『夏が終わる』

『夏が終わる』

甲子園のニュースのタイトルにあった言葉

夏が終わるのではなくて

夢が終わると聞こえた

どうかなくならないで

久しぶりだね

ここを見つけた理由も

去った理由も

もう忘れちゃったけれど

また来たよ

ほとんど誰も知らない場所

私の記憶に埋もれた場所

周りの景色は変わったけれど

ただただ

待っていてくれたんだね

どうかなくならないで

夕暮れに譜面

　待っていた夕暮れ時の駐車場で。
　私は鍵がかかって入れない車に、もたれて座り込んだ。
　空を見ていると、電線が譜面のように見えて、あの譜面にどの音符をおけば、この綺麗な空に似合うメロディーが奏でられるかを考えた。
　すると、鍵をもったまま出かけた相手が帰ってきて、座り込んだ私を見て、「頭のおかしい人に見えるからやめて」と言われた。
　その言葉に何も答えなかった。
　待っている少しの間の出来事を話そうと思わなかった。
　空想を許されない、拒否に似た視線は私の口を開けさせないようにさせた。
　
　頭がおかしい人、か。
　昔からずっといわれてるよ。

日没と約束

日が暮れないと

私は帰らない

日が昇っているうちは

私は帰らない

それが約束のように

何年たっても